「HONDA LiB-AID for Music. 」聴いてきました!
(月刊Stereo 試聴会)
HONDAと言えば、バイクか車か…なんて思っていたら、突然のオーディオ用ポータブル電源の発表です!(速報?)
神楽坂の音楽の友ホールで、JBLとマークレビンソンのプリメインをセッティングして、その効果を試すというイベントがありました。…といっても、オーディオ用ポータブル電源のベースとなったのは、キャンプや非常時に使うために開発されたもの。オーディオ機器を商用電源から独立させて、有害なノイズから解放させようという狙いはわかるのですが、所謂「通用する」の商品なのだろうか。そんなことを思いながら駆けつけてきました。
左:オーディオ評論家 田中伊佐資さん 右:オーディオ評論家 生形三郎さん中央:レコードプレーヤーとLiB-AID E500 for Music(2台)
その仕組みを簡潔に書きますと、このオーディオ用ポータブル電源は、内蔵したリチウムイオン電池の電圧をインバーター回路で100Vの交流に昇圧して、オーディオ機器に電源を供給するというもの。壁のコンセントと絶縁できるので、電灯線や宅内の機器から電源線を通じて混入するノイズを物理的に遮断できます。そのことで、音楽信号に変調するノイズを低減するという目的のものです。
壇上に立ったホンダ社の方は、開発談の中で、こんなことを言われました。「ホンダ社内の基準の上に立って、とにかくきれいな電気を目指しました」。そこに低損失の配線材、オーディオ用コンセント、漏洩電磁波対策を施してオーディオ用として満足できるものに仕上げたということです。
さて。
その効果は…?
一聴して唸ってしまいました…。
視聴環境や視聴に使った曲などについては、次号のStereo誌に記事が載ると思うのでお楽しみにすることとしまして、ここではわたしの聴感を大雑把に書きたいと思います。
1.壁コンから直接引いた電源(PA用ではないもの)
2.ポータブル電源
この2つを聞き比べて、共通して感じられた効果は次の通りです。
・濁った感じが取れ、ボーカルなどのふくよかさがより感じられる。
・尖ってうるさいと感じた音から、音色・余韻が感じられるようになる。
・ベースやバスドラから雑味が取れて締まり感が増す。
商用電源がそれだけ汚れていたというべきか、それとも隠されたマジックがあるということなのか…。いずれにしても器楽やロックに限らず、録音全体が整理され、引き立つ部分がはっきりとする一方、録音されている空間表現が見えてくる方向での効果が感じられました。
ちなみに、今回の試聴会では、ポータブル電源をシステムの上流(レコードプレーヤー、CDプレーヤ、フォノイコ)に入れた場合と、下流のプリメインにも入れた場合と行われましたが、どちらも同じように雑味ときつさが取れ、低域に締まりが出る傾向となりました。プリメインアンプを駆動させたときも、だれる感じもなく、逆に本来の音色だろうと思わせる締まった音楽再生をして見せたところ、ポータブル電源の昇圧回路の出来の良さを、もろに体験させてくれるものがありました。余談ですが、今回の会場が響きの豊かな音楽ホールということもあり、音色が締まることで録音の空間表現が現れて感じられると同時に、なかなか体験できない、豪快な試聴会となったことも嬉しいところでした。曲によっては、スピーカーが楽器になったような瞬間を見た気がしました。逆に、壁コンそのままでは、ホールの残響が豊かなだけに、うるさいだけだったり平板的になったり…。この点には、ノイズ対策の重要性を再認識しました。
尚、今回の試聴会のレビュアーはジャズ喫茶や各地のマニア宅を聴いて渡る田中伊佐資さんと、レコーディングも手がける生形三郎さんでした。笑いのある楽しいトークと、聴かせどころ・抑えどころのある選盤で、試聴会そのものが充実したものでした。(次号Stereo誌が楽しみです)
さてさて。
今回の会場は商業用地に立地し、照明が多用されているホールということもあり、さらには敢えて壁コン(PA用コンセントは別)を使用したため、電源の汚れはそれなりにあるということでした。ですが、このような環境は、都市部では至る所にありますし、マンションなど、建物内の幹線を多数戸で共用しているような場合は、想像以上に「汚れている」こともあるかもしれません。LiB-AID E500 for Musicは、ノイズ対策のツールとしては最もアクティブな商品のカテゴリーで、電源に関しては最強の対策と思うのですが、…ここで一つ疑問。
「LiB-AID E500 for Musicがオーディオ用電源を標榜する理由とは?」
壁のコンセントから縁を切ってあげることがノイズ対策になるのなら、カー用品店で車のバッテリーとシガーライターからAC100Vを作り出すインバーターを買ってくれば同様の効果が得られますよね。(昔、やりました笑)LiB-AID E500 for Musicがオーディオ用を謳うにはそれなりの効果…というか、違いがなければいけないような気がしてきませんか?
そんな単純な疑問には、LiB-AID E500 for Music自身が即答してくれました。
さっきから品名にいちいち「for Music」をつけている通り、これにはベース商品(ノーマル品)が存在します。 for MusicのついていないLiB-AID E500です。試聴会では、その二台の聴き比べも行われました。私感としては次の通りです。
※いずれも壁コンとの比較
・ノーマル品(LiB-AID E500)
音場が整理される。音に丸さが感じられる。同時に音の厚みが若干薄くなる。
・オーディオグレード(LiB-AID E500 for Music)
音場が整理される。丸さは感じられず素直な音。厚みが戻り、ローが引き立つ。
この違い、嬉しくなりました♪
ノーマル品からオーディオグレードへの開発期間は一年ほどかかったそうです。壁コンと絶縁した先、「きれいな電気」を磨いた先には、確かにオーディオファンの目指しているところが見えています。今回は200台の限定生産とのことですが、この先の展開も楽しみにしたいところです。
左:オーディオグレード LiB-AID E500 for Music 右:ベースグレード LiB-AID E500
生録会の現場にも良さそうですね!
リンク集:
A&Cオーディオ社 島津様のお宅へお邪魔してきました!
スピーカーのカタログを眺めていると、よく出てくる言葉に「分割振動」という言葉があります。スピーカーの振動板に起こる現象で、低い音から高い音まで、音の力強さや再現性に悪影響を及ぼす物理現象です。オーディオにとっては、おそらく始期からの懸案事項なのだと思うのですが、各位各社、絶え間なくその影響を少なくしようと工夫をこらしてきた部分です。
今回、お伺いしたA&Cオーディオ社は、この分割振動問題に真正面から取り組んでいるスピーカーメーカーです。
メインのラインナップ
左:SLEEPING BEAUTY-1025
右:EVANGELIST-102
現在、メインとなっているラインナップは、すっきりとしたシルエットが好印象の小口径(10cm)シリーズです。ツイーターを後退させたスタイルを見るだけでこだわりの方向性がわかりますが、一見しただけではいったいどこに分割振動に対するこだわりがあるのかがわかりません。小口径であることが、まず有利なのだろうとは想像がつくのですが…。
さて。まず一曲…と曲がかかると、思わず目を瞠りました。楽器の刻むリズムがはっきりと感じられる、骨のある音色。ドラムの音も弦楽器の音も存在感があり、小口径とは思えない臨場感があります。この臨場感というのは、楽器の定位がいいのはもちろんのこととしてリアリティーを感じます。低音の量感もしっかりとしていて、ダブルウーハーの一つは低音域専用にされているのかな…と思って島津さんに質問を申し上げたら、なんと鳴らしていたのは小さいほう(2ウェイブックシェルフ)でした!
10センチ1発で、これだけ骨のある音を聴かせてくれるのは驚きです。呆気にとられていると、次はダブルウーハーにつなぎ替えされました。細身のスタイリングと口径の大きなバスレフポートから、共鳴管かなと予測して思わず身構えたのですが…
予測はあっけなく裏切られました。その出音、スピード感は、共鳴管とは全く違います。ポートの大きさから想像するバスレフとも違う音。緩くなく、ドン!ときます。
これはなに?とたずねれば、ユニットの一つをサブウーハー的に動かしている以外は普通のバスレフ式…。ただ、ドライブしているユニットに秘密があるとのことで、そのあたりを詳しく伺うと…。
「マッシブなユニットで中低域をしっかり出してやると、いわゆるポート遅延は気にならなくなるんですよ」
え、そうなんですか? それから、マッシブなユニットって…?
目から鱗の話です。目を丸くしていると、秘密を見せてくださいました。
なんと、スピーカーから正確な音を放出するために、10センチユニットのコーン紙裏には無数のリブが設けられているのです。極薄のアルミ製で、しかも一本一本のリブは手作業で接着されている…。それがブックシェルフにもトールボーイにも搭載されているそうなのです。
これまで、ドームやリブを接着して強度を増したスピーカーユニットを見たことはありましたが、それは記憶にある限り、大口径のユニットばかりでした。それを10センチ口径に施したばかりか、そのリブの数は、ぱっと見では数えられないほど緻密に配置されています。
「ここにたどり着くまで、何年もかかりましたよ」と島津さんは笑います。素材や形状、数や接着剤など、音色に関して、何度となく検討吟味された結果とのことです。しかも、単に丈夫に、硬くするというのでは、目指す音楽性の再現には至らなかったと言います。
「大量生産ではできないことですね」
だからこそやりがいがあるといわんばかりの笑顔です。
そんな職人技の光るスピーカーは、小型のブックシェルフは出音のバランスの良さでポップスやロックに向くように感じました。2発搭載のトールボーイは、大きなホールの空気感さえ再現する量感で、ジャズ、クラシックファンを惹きつける迫力です。ただ、いずれも共通するのは、心地よさを追求したボーカル、そして楽器の音色です。
分割振動を抑え、ユニットの再生域全域で腰砕けのない音色を追及しつつ、目指す音色を見失わない。そんな開発姿勢は、全て「音楽」に集約されているように思います。まさに職人技の光る、こだわりの逸品です。
※受注生産品につき量販店には置いていないということですので、各所イベントなどで音に触れることを是非おすすめ致します。
※直近のイベント:
第25回 真空管オーディオフェア
2019年10月13日(日),14日(月・祝) 於:秋葉原損保会館
・開発中の20cm3ウェイモデルも登場するとの情報です。
(前回記事で訪問いたしましたAudiFill社製品のゲスト試聴もあります)
※今回、書ききれないほどたくさんのお話・経験談を戴きました。
企業秘密に当たる部分もあるように思うので、ご興味のある方は是非、イベントでご本人の開発談をお聞き頂くことをお薦めします。
※詳しいラインナップなどは同社のホームページへどうぞ↓
同社試聴室(要予約)※詳しくはホームページへどうぞ!
*** A&Cオーディオ 研究開発・製作室 ***
本気でハンドメイドのスピーカーはここで作られます。
A&Cオーディオ社には、スピーカーのユニット及びエンクロージャー、ネットワークやフローティングマウントなどを自社で製作できる体制があります。研究と製作、製品の製造は、敷地内にある製作室で行われています。この写真の他、尺板をカットできるサイズのスライドソーや塗装ブースなども完備して、研究開発の理想的な環境が構築されています。お話を聞けば、学生時分からスピーカーなどの自作をしていたとのこと。その後、大手電機メーカーでの技術者経験などを経てA&Cオーディオ社を立ち上げたそうです。ここは、とうとう辿り着いた理想の開発環境ですね!
スピーカーメーカー「AudiFill」社主宰の鈴木さん宅へお邪魔してきました!
AudiFill社のスピーカーのことは、「ボーカルを大切にした音づくり」という紹介に心惹かれていましたが、なかなかゆっくり拝聴する機会がなく、それがかなったのは「春のヘッドホン祭り」でした。…ヘッドホン祭りに、スピーカーメーカーが出展しているのは、ちょっと不思議な気もしましたが、思えば自分もウン十年前にはヘッドホンを多用していた時期があり、それだからスピーカーで聴く良さというのもわかっていると理解している部分もあり、そう考えれば不思議なことでもないのかなとも思いつつ、興味の前にはそんなことは関係ないとも思いつつ…(笑)
何はともあれ、そのときにかなった試聴で、まさにボーカルを大切にした音というのがぴったりと来たので、もう少しA社のことを知りたくなって、今回の訪問と相成ったのでした。
今回は、フラッグシップ機の「Concept-SORA」にスポットを当てたいと思います。形としては、6センチ口径のウーハーにツィーターを合わせた2ウェイ構成リアバスレフです。柔らかなボーカルと、小口径とは思えない低音楽器の再現で、小音量でも豊かな音楽性を感じさせてくれるスピーカーです。
AudiFill社のスピーカーの特徴は、檜の無垢材を使ったキャビネットを手作業で作っているところ、そして、ボーカルを大切にした音色作りです。檜と言えば、日本ではなじみ深い素材ですね。ただ、スピーカーに使われているという話は聞いたことがありません。一般的には、木質チップを樹脂で成形したMDF材や合板が使われています。変わったところでは、ウイスキーを醸造していた樽を再利用したスピーカーというものもありますが、やはり檜というのは意外なほど使われていません。その辺り、鈴木さんにお尋ねすると、「無垢材は、反りや割れが発生しやすいのと、檜は値段が高いので…」というお返事を頂きました。パンフレットを見ると…「名産地吉野の檜を使用」とあります。さらに、スピーカーユニットはA&Cオーディオ製ウーハーを使用。こちらのユニットは職人による手作りで、大量生産ではできない音質優先のものとなっているそうです。また、ネットワークのパーツ類も厳選されているとのこと…。
いい素材を揃えていますね。けれど、ここまでなら、一般のクラフトマンでも、なんとかがんばれそうな気がします。
しかし、この辺の話から、気配が変わってきます。
鈴木さんは、オーディフィル社の立ち上げ前までに、大小様々に30台以上の自作スピーカーを製作されて、その上で心地よい響きを求めて檜材に行き着き、製材所と交渉し、檜の扱いの教授も受けて、その上で社を立ち上げたとのことでした。惚れ込んだ檜材には、泣かされたこともあったということですが、そういった経験があって生み出された「Concept-SORA」は、コンピューターの画面では表現できない、色鉛筆、あるいは水彩で描かれたような、優しい空色を聴かせてくれる珠玉の出来です。
木材への愛情に、ユニットとパーツを彩なして、空間に、優しさとしなやかさの筆致で情景を描いてみせる。SORAは、そんなスピーカーでした。
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こぼれ話
・SORA 加工中
左が接着を終えたところ、右が面取りを行ったところ。手作業で組立とカットを行う、手間のかかる行程。工業製品にはない、素材との対話を垣間見る瞬間です。
・こちらは、SORAの一つ前のモデル「PR-83sol」
フォステクスの限定ユニットと、檜の響きを組み合わせた小型のモデルです。SORAとは違う、快活な歌声を披露してくれます。
背面に立ててある木材は、いずれSORAへ使われるもの。室内で乾燥させながら、同時に選定を行っているとのことです。
木目が、きれいですね!
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リンク集
・
AudiFill webページ
4月某日、ツイッターでお知り合いになったスタタボさんのお宅へ、オーディオオフにお邪魔しました。
きっかけはスタタボさんも自分も、オンキヨーのスピーカーを愛用中という共通項です。
さてさて。
これは大画面が必要だーッ!…と叫びたくなるくらい、写真では伝わらない迫力があります!
スタタボさん愛用のセプターは SCEPTER 10という38センチウーハーに音響レンズ付きツイーターを合わせたものなのですが、生の目で見る立体感、押し出し感は、画面ではなかなか伝わるものではありません。しかも、部屋に収まっていると、店頭などで見る雰囲気ともまるで違うのです。
そして、音…。
うわー!
期待していた通りのスピード感ある重低音と、飛び出してくるような楽器の音色!
重低音30Hzを醸し出すマリンバのCDを、全く難なく気持ち良く♪鳴らしてきます。
ライブ感に満ちた、自然に響く音。これぞ大口径といった感じです。
続いて、珍しいハープギターの名盤を拝聴♪
2ウェイの好いところが見事に出てきます。ツイーターも、ホーンにありがちな尖った感じが目立たず、音が飛びだしてきます。響きの統一感と、胴の鳴りの厚みがたまりません。
追加されたJBLのスーパーツィーターとも相性が良く、ギターの弦の音を、低音成分も遅れずについてくるのが良い感じです。
弦楽器が機嫌良くなるスピーカーは,大口径よりは、どちらかというと20センチクラスやフルレンジが好感度高いという印象を持っているのですが、このSCEPTER 10は、そんな自分基準を覆してくれました。
すると、スタタボさん…。
「ウーハー、ほんとに軽いんですよ!」
とコーンに指を添えて、そっと動かして見せてくれました。
ウレタンエッジということを考えても軽い動きです。でも制動はきちんとしていて遅れなく戻ってきます。
そこで、ふと思いました。ウレタン…ですよね?
「オリジナルです(にこり)」
…ウレタンエッジ、45年以上前に購入したときの、オリジナルの状態なのだそうです!
長年の使用で、エッジ表面の着色は若干飛んだようですが、まだまだいけそうです。
思えば、うちのセプターもオリジナルのエッジが残ってます。わたしのE-83A mk3はラバーエッジですが、ONKYOというメーカーは、長寿命も考慮して素材を設計しているのかも知れません。
「カセット、聴きましょう」
そうです。気になってたのですが、ラックにはナカミチが収まってます。
おもむろにセットされたのは、スーパーメタルマスター…。
これって、録音して使うモノなの?なんて、最近の価格高騰を知っていると思ってしまいますが、さらに…
「2003年のエアチェックテープです。アコギのライブです」
エ、エアチェックですか…? スーパーメタルマスターで?と仰天しましたが、以前は今ほど価格は高騰していませんでしたから…。ただ、そこじゃないんですよね。つまり、値段じゃないんですね、カセットテープって…。
カセットテープに録る行為っていろいろあると思うのですが、エアチェックを例にとると、今ほど編集が楽な時代ではないので、レベルも残量もチューニングもノイズも、常に気にしながらの楽しい時間です。しかも、多くの番組の中から、これと狙って録るのですから、その期待度に応じて、できる努力、あるいは物量を投入したいと思ってしまうのも仕方ありません。つまり、その行為は値段じゃないんです。気持ちだったり情熱だったり…なんです。そして、スタタボさんのエアチェックテープは、まさにこれにぴったりと合致してました。
番組の内容は、アコースティックギターのスタジオ生ライブです。その音は、一瞬、元のソースがなんなのかわからなくなるようなSNとDレンジ…。リスナーの期待と、それを知って気持ちを込める弾き手の響き合いが聞こえてきます。スタタボさんはギターの趣味もお持ちで、良いテープを奢りたくなるのもわかります。
そして、大切なカセットテープをいい調子で聴くために、デッキはメンテナンスを繰り返して維持してきたのだそうです。その気持ちが周囲に伝搬しているのか、その放送を受け取ったチューナーは、ノーメンテながら未だ健在です。
なるほど…。
スタタボさんは、ネットオークションなどで機材を仕入れる一方、セプターやチューナー、ナカミチのように、気に入ったものを長く使っていく気持ちを忘れない達人のようです。思えば、そのハンドルネームの由来にある愛車のスターレットも、何台も乗り継ぎながら、そのフィーリングを楽しんでいるのだといいます。今はすっかり旧車になって、部品の調達には苦労があるそうですが、車は愛情にしっかり応えてくれているそうです。そんな風に、筋の通った機材は、聴くも乗るも、実に楽しいものです。
そんな愛情が流れるシステムの、「さわり」の部分を知った後は、揚水、拓郎(男性ボーカルがしっかり聴けます!)、その他いろいろ…、わたしの45LPやスタタボさんの見本盤コレクションなどを、ライブ感満載のセプターで聴きまくるリスニングタイムとなりました。
ONKYO SCEPTER 10…
爆!ゴキゲンです:)
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スタタボさん、こぼれ話。
セプターを鳴らすアンプはハーマン。
オークションで、ちょっと調子の悪い物を手に入れたそうですが、暇無くつまみやスイッチを動かして上げているうちに復調。当日は絶好調でした。
フォノが二系統挿せて、容量も設定できるという、がっつりとアナログに振ったアンプです。
当日、メインで掛けていただいたレコードプレーヤーはケンウッドKP-7010。近年、デッドストック品を手に入れたとのことで、…これはきっとセプターの咆吼に呼び寄せられたものではないかと、わたしは推測しています。(笑)
針は、いろいろお持ちの中で、いちばんシステムに合っているというAT-33ML/OCC。ダイナベクターなどと聴き比べもさせていただきましたが、確かにこれがいちばんぴったり来ていました。何本もお持ちになるほど、愛を注がれてます。
愛が注がれていると言えば、カセットテープも…。「本棚で金庫の鍵を隠すためBOX」の中には、金は金でもテープの金が詰まってました。
ソニーのメタルだけでも、こんな感じです。他、TDKの金字塔も未開封で3世代が詰めてあったり…。
なんだかもう、あの時代、かなり奮発して買った思い出など、よみがえってきたり…。(涙)
スピーカーの聴き比べも。オントモムックのスピーカーも、かなり良い鳴りです。
仕組みとしては新しい世代のスピーカーと思うのですが、CP的にもかなり良いです。ここには写ってないですが、スタタボさん、なにげにフォステクスの限定フルレンジをお持ちであったりして守備範囲が広いです。
そんなスタタボさんの最新情報はこちら↓
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スタタボさんツイッター スタタボさん、楽しいオフをありがとうございました!
月刊Stereo × Luxman の真空管ハイブリッドアンプ、実験編の最終回です。
今回は電源に手を入れてみました。
目指すは、これ↓
オントモアンプの右側で緑色のランプを光らせているオーディオ用安定化電源装置!
コンクルージョン製 PS-14VR です。14V、3Aの電源なのですが、その回路は、プリメインアンプの名機 NEC A-10シリーズで開発された「リザーブⅡ電源」を採用しています。
理屈は、電灯線の単相交流を整流したときに生じる正弦波の谷間を、位相をずらした波で埋めるという、絵で描くとわかりやすいのですが、言葉で言われても、ちょっとどういう仕組みなのか悩んでしまうような、とにかく凝った高品質電源です。これは以前、このブログでも紹介しました ステレオ時代誌企画の A-10SGと一緒に購入したものです。便利なことに、今回のオントモアンプにはジャックが同一で、そのまま刺さったため、試したところ…。
空間再現、ドラムのキレ、ボーカルの深みとも、何段も飛び越えて次元が違いました。
立派な電源をつないだのだから当たり前と言えば当たり前とも言えるのですが、逆を言うと、このオントモアンプにはそれだけのポテンシャルがあるということです。これを引き出してみようというのが今回の実験です。
つまり、電源強化です。その方法ですが、外部電源を製作するか、充電池駆動にする方法が手軽です。
幸い、手元には、過去の実験で使ったジャンクコンデンサがいくつか転がっています…が、このオントモアンプの手軽さと小型軽量は維持したい。付属のアダプターも、SW電源にしては健闘しているような気がするので、これも活かしたい。結果、目標としたのは、付属のアダプターを使い、この小さな箱の中でやれるだけやろうというということになりました。
その前に、
予備情報として、スイッチング電源とリザーブ電源の出力波形を見てみたいと思います。
まずは、USBオシロのプローブをショートさせてノイズの具合を見ます。
このくらいの雑音が出ていますね。これは環境にも因りますが、良いのか悪いのか経験不足でわかりません。
とても安く買ったUSBオシロなので、このくらいが普通なのかも知れません。
次は付属のACアダプタ(スイッチング電源)です。
それなりにノイズがありますね。5mV/p-pくらいでしょうか。電圧のふらつきもあるようです。
負荷オープンで計ってますので実用したときとはかけ離れたノイズが出てきます。
次はリザーブ電源。
全然違います。繰り返すようですが、どちらも無負荷での測定ですので動作時の状況とは異なってきますが、ノイズ量の比較にはなると思います。
さて、用意した主な部品は次の通りです。
これは計画段階のもので、実際にはもう少し足しました。
出来上がりの回路図は、こんな感じです。
リレーAは簡易な遅延回路です。大きなコンデンサに、いきなり充電をすると、電源(トランスやアダプタ内部)に負担がかかるので、電流を抑えて充電し、端子間電圧が上がってくるとリレーAがオンになり抵抗がバイパスされるというものです。
リレーBは自己保持接続したオントモ基板をオンにするためのリレーです。当初は、リレーAがオンになった時点でオントモ回路もオンにしようとしたのですが、リレーAが思う以上に早くONになってしまい、同時にオントモ回路に給電をするとアダプタの保護回路が働いてうまくいかなかったので、充電の頃合いを見計らって、追加でつけたプッシュスイッチを押し、オンにすることにしました。(笑) 自己保持付きなので、電源を切るとOFF、電源を再投入したときには、改めてのプッシュスイッチを押す必要があります。タイマー回路や、精度のいいスイッチ回路を半導体利用で作ると製品的になりますが、これがノイズの点で有利だと思うことにしました。一手間かかるのも、前時代的でよいですし…。
(動画をアップしておきます↓)
・
電源投入シーン 追加の基板の接続は、オントモの基板パターンをカットして給電点をもうけます。
ちなみに、この線のつなぎ方、コンデンサ並列の方法など、いろいろなことで音質が変わりますが、スペース的な制約が多く、必ずしも思ったようにいかないのがつらいところです。それでも一応、思うところから思うところへ配線していきます。
ドライバ段とパワー段にそれぞれ抵抗を介して電源供給されていますが、その抵抗の一次側に直接入るようにしました。ちなみに、この2本の抵抗は、スイッチング電源の弱点を抑える方向で、なかなか素晴らしい仕事をしているような気がします。
最後は高域を補償するためのコンデンサを、聴感で足します。ケミコンだけだと、パワーバンドが下ぶれしがちなので高域の出やすさを調節するわけです。
おもしろいのは、同じ容量でも、コンデンサによっていろいろな音色が出るところでしょうか。キリッとさせたければ積層セラミック、朗音を増すならケミコンか、今回のようにMPオイルコンあたりが、今回のオントモアンプには良いようです。もちろんスピーカーなどの外部機器によっても違いますので、あくまでも我が家での場合です。
聴感は、素子をつなぐ場所によっても変わりますが、コンピューターでシミュレーションするようなものでもないのでしょうから、もう自分勝手にいろいろとつないでいきます。付けたり外したり、配線もあちこちつなぎ直すので、半田もモリモリです。手本にはなりませんので悪しからずです。(お見せできません。笑)
なお今回、自分は朗音を増す方向で選びました。
増設基板をインストールしたところは、こんな感じです。Lアングルは指で曲がるようなモノは避けた方が無難です。今回、基板の穴が合わず、右下の穴は針金で止めていますが、こういうのも避けた方が良いです。(左下は、ボルト止めしてます。言い訳です)
万が一、シャーシと基板の裏が触れると、えらいことになります。
黒いケミコンの左上、銀色のコンデンサはビタミンQでよく聞くトウイチ製。MPオイルコンです。(廃番品) ジャパニーズ・ヴィンテージかも知れません。1μFで、別の目的で買った物ですが、いろいろ試しているうちに行き着きました。給電点から遠めにするのが朗音のコツかも?知れません。
ちなみに上から見るとこんな感じです。
試聴結果を書く前に、電源波形を見ておきましょう。
コンデンサ回路をインストール前、オントモ基板に給電中の波形は次のような感じです。
次は、基板をインストールした後の波形です。
さっきより改善されています。2mv/p-pくらいでしょうか。
ちなみに、リザーブ電源をつなぐと次のような感じです。
さすがに練り込まれた電源装置です。理想的な給電状況でしょうか。
次は、実際に音楽を鳴らしているときの電源電圧の変化(交流成分)です。
青線はmonitor900(4Ω)をつないだとき、 最大4Vくらいの出力です。(1メモリ1V)
黄線が電源ラインに響いてくる電圧変化です。こちらは1メモリが10mVです。
まずは指標にしたリザーブ電源の場合。
次は今回の改造。
善戦していますね。
さて、改造後の聴感ですが…。
正直、やり過ぎ感に、思わず笑ってしまいました。
ボーカルの太さとなめらかさが出て、ドラムもますます力強くなりました。真空管をロングプレート系にすると、ボーカルのふくらみやベースが、やり過ぎぐらいにふくらみます。ライブ的でおもしろい。朗音…といえば朗音かも知れませんが、バタ臭くなる管もあります。リザーブ電源をつなぐとすっきりした、バランスの取れた音になるので、安直な増設は安直な結果を生むのかも?しれません。それとも練り混みが足りないだけ??
いずれにしても電源に余裕が出た分、真空管の違いが出やすくなりました。(余裕と書きましたが、あくまでも抑揚がある音楽信号が前提です。ACアダプタの最大出力が上がったわけではありません)
*** まとめ ***
3回にわたっていろいろ実験してみましたが、感想としてはひとこと、「楽しい!」です。
手を入れやすい回路と、部品の配置は、副次的なものだとは思いますが、こんなにいじくり甲斐のあるキットはなかなか無いように思います。ただ部品を並べただけではない、気持ちのこもった回路だというのも、楽しさを倍加していますね。
こんな回路に触れて、電子工作や、果てはオーディオの設計に燃え上がる人が一人でも増えたら、それは楽しいことだなぁ…と思いつつ…。
次は、なに聴こう♪
リンク集
・コンクルージョン製品開発元
→
港北ネットワークサービス株式会社(了)